売れ残り食品を「売りたい店」と「欲しい人」とをアプリでマッチング!
世界では「まだ食べられるのに捨てられてしまう食品=食品廃棄」が大きな社会問題となっている。世界で生産される食料の約4割が廃棄されているといわれ、その過程で生産や輸送に使われた水や土地、エネルギーも同時に失われてしまう。その結果、温室効果ガスの排出増加や気候変動の加速にもつながっている。こうした課題に立ち向かい、「誰もが食品廃棄削減に参加できる」ことを理念に据えているのが「Too Good To Go」である。
2015年、デンマーク・コペンハーゲンで若手起業家グループによって設立。創業のきっかけは、ビュッフェ形式レストランで大量に廃棄される食材を目にしたこと。翌2016年には、飲食店やスーパーの売れ残り食品を消費者に割安で提供するアプリがローンチした。その年の後半、食品廃棄問題に関心を寄せる新たな仲間が加わり、ノルウェー、英国、フランスでToo Good To Goが設立された。2016年10月には、フィットネスコミュニティEndomondoの共同創業者であるデンマーク人起業家メッテ・リュッケが投資家として参画し、2017年春にCEOに就任した。
アプリの使い方はシンプル。ユーザーは位置情報をもとに近隣店舗の売れ残り商品が詰められた「サプライズバッグ」を検索し、決済後に指定された時間に店舗へ取りに行く。ユーザーは定価の25%以下で食品を手に入れられ、袋の中身は受け取るまで不明だが、それが福袋のようなワクワク感を生み、SNS上で中身をシェアする文化も広まった。
ユーザーにとってアプリの利用は無料であり、収益は加盟店が支払う利用料からなる。形態は国ごとに異なり、主に「売上連動の取引手数料」と「年会費」が仕組みとして存在。米国では、1バッグ販売ごとに約1.79ドルがToo Good To Goに入り、年会費約90ドルも設定されるが、一定の売上に到達するまでは発生しない。
このビジネスモデルは、環境・ユーザー・加盟店の三者すべてに利益をもたらす。環境面では食品廃棄削減が温室効果ガス排出抑制につながり、ユーザーは手頃な価格で食品を得ることができる。加盟店は廃棄を減らし、新しい顧客との接点をつくり、環境配慮型のブランドイメージを形成できるうえ、本来廃棄予定だった商品から売上を得られるという実利もある。売 れ残り食品を「売りたい店」と「欲しい人」とをアプリでマッチング!
サービス開始以降、Too Good To Goは欧州・北米・アジア太平洋地域の20か国で事業展開し、その利用規模と展開力の大きさが特徴となっている。また、アプリ運営に加えて食品廃棄削減に関する政策提言や教育活動にも取り組み、家庭向けには「Look-Smell-Taste」キャンペーンを展開。賞味期限を過ぎても見た目や匂い、味で判断する習慣を広め、「賞味期限切れ=廃棄」の固定観念を問い直している。こうした活動は行政やメディアからの信頼につながり、利用者や協業相手の獲得にもつながっている。Too Good To Goは余剰食品を価値に変換する仕組みを社会に根付かせ、食品廃棄の課題に持続的に取り組むモデルとして存在感を強めつつある。