使い古されたトラックタープやタイヤチューブが高品質のバッグに
「FREITAG(フライターグ)」は、1993年スイスのチューリッヒで生まれた、使い古された製品を素材としてバッグなどの製品をつくるブランド。通常、高い品質が求められるブランド製品は使用する材料にも安定した品質が求められる。それに対してFREITAGは、品質の高さはそのままに、素材の持つバラバラさ(不均質さ)を「世界にひとつだけの価値」として提供し、ブランドの名を高めている。
使われる材料は、使い古されたトラックのタープ(幌)が80%以上を占め、そのほかにタイヤチューブやベルトといったB級品やPET製品がリサイクルされる。新品素材として使われるのはファスナーなどで、全材料の約8%にも満たない。
これらを素材に、創業最初はメッセンジャーバッグをつくっていたが、今では、製品のバリエーションもバッグだけで50点に増えたほか、財布などのアクセサリーも増え、年間の製造量は約70万個に達する。
どうやって使い古した製品から品質の高いバッグを生産できるのだろうか。まず、メインの素材であるトラックタープの仕入れは、トラックの運転手や運送業者から調達するが、使い古しを扱うマーケットは整っていない。そのため「トラックスポッター」という社内のバイヤーが仕入れに奔走するのだ。
タープが仕入れられると、それらはFREITAGの自社工場で不適切な物質がないか検査され、洗浄される。そしてその次に行われる重要な工程が裁断(カット)だ。それを行うのは「バッグデザイナー」と呼ばれるスタッフで、型とカッター、そしてデザイナー自身の感性を駆使し、一つひとつのタープの模様を最大限に活かすことによって、唯一無二の素材に生まれ変わるのだ。
こうしてカットアウトされたバッグのピースは、チェコやブルガリア、ポルトガル、ルーマニアなど、各地のパートナー工場の高い技術によって縫製され、高品質の製品となる。
このような工程で、使い古された製品から、バッグだと2〜6万円する個性的で高品質な製品を生み出したのが、このビジネスモデルの面白いところだ。
また、FREITAGの活動によって本来だったら廃棄されるはずの390トンのタープがアップサイクルされており、それが循環経済に貢献する度合いは高い。
FREITAGは「WE THINK AND ACT IN CYCLES(循環を考え、行動する)」という企業理念を持ち、近年は、使い終わったあとのFREITAG製品をゴミにしないような事業も行っている。
例えば、手元のFREITAGのバッグを違うFREITAGの製品と無料で交換できるS.W.A.Pというサービスがあったり、バッグとしての役目を終えたタープが生物学的・技術的にリサイクル可能となるようなトラックタープの材料開発を行っている。
こうした活動が評価され、FREITAGは循環経済への道を進む組織としてサーキュラー・グローブ・ラベルをスイスで初めて授与され、2022年に「高度」レベルを獲得した。資源を無駄にしないFREITAGのバッグ作りが、この先も長く続くことを期待したい。