独自技術で金属リサイクルの低コスト・低CO2・省スペースを実現
金属リサイクルは、長いあいだ「大きなリサイクル施設でまとめて行うもの」だと考えられてきた。製造現場で発生した切粉や研磨粉といった金属くずは、廃棄されるか、スクラップとして回収され、遠くの製鉄所や製錬所に運ばれて溶かされる。その過程では、油や水分を含んだ細かな金属ほど価値が下がり、輸送や高温溶解に多くのエネルギーが使われてきた。金属は貴重な資源でありながら、加工の途中で生まれるくずは「価値の低いもの」として外に出されることが多かったのである。
Sun Metalonは、こうした金属リサイクルの現状を変革しようとする企業である。創業者である西岡和彦氏は、製鉄業界に関わる中で、二酸化炭素排出量の大きさや、製造工程の中で失われていく金属の多さに強い課題意識を持ったという。また、金属産業は社会に不可欠である一方、その仕組みは巨大な設備と集中型の生産に依存してきたため、設備投資や運用コストが高くなりやすいという側面もあった。西岡氏は、こうした構造を見直し、より低コストに、より環境に優しく、省スペースで金属を循環させる方法を実現できないかと考えたことが、Sun Metalon創業の出発点となっている。
その構想を現場で使える形にしたのが、主力製品のVenus-L6である。Venus-L6は、鋳造工場や機械加工工場など、日常的に金属くずが発生する現場への導入を想定した装置である。切削や研磨によって生じる切粉や粉状の金属くずを工場内で処理し、高純度の金属資源として再び使える状態に戻すことを目的としている。金属くずを外部に運搬する必要がないため、輸送コストや処理委託費を抑えられる点も特徴である。対象となる金属は、鉄やアルミなどで、油や水分を含んだ状態の研磨粉や切粉にも対応している。
Venus-L6を支えているのは、Sun Metalonが独自に開発してきた電気を用いた加熱技術である。従来の金属リサイクルでは、化石燃料を使って高温で金属を溶かす工程が中心となり、大きなエネルギーコストが発生するが、同社の技術では電気を使って金属くずを加熱し、溶かす前の段階で油分や水分、不純物を効率よく取り除くことに重点が置かれている。これにより、金属そのものを無駄にせず、二酸化炭素排出量やコストを抑えながら再資源化を行うことが可能になる。こうした電気加熱や電磁技術に関する手法は、特許を取得しており、同社の競争力の中核を成している。
このような技術と構想を実現するため、Sun Metalonは累計58億円にのぼる資金調達も段階的に進めてきた。2025年にはシリーズAラウンドで約13億円を調達しており、日本製鉄、国際協力銀行(JBIC)などが出資した。その他、Airbus Venturesなど米国からの出資も多い。同社は米国で起業したスタートアップであり、金属産業の集積地に近い環境を拠点とすることで、実際の製造現場に根ざした技術開発を進めてきた経緯がある。
Sun Metalonの取り組みは、リサイクル装置をつくること以上に、金属くずを工場の外に出さず、その場で再び資源として循環させる仕組みをつくろうとしている点に革新性がある。今後、同社の技術が普及していけば、製造業は廃棄コストの削減や原材料調達の安定化を図りながら、環境負荷の低減にも取り組める可能性が広がりそうだ。