フランチャイズの本部側が加盟店にコーヒーとパンを売るモデル
コメダ珈琲店は、1968年に愛知県名古屋市で始まったカフェチェーン。2023年時点で全国に950店舗、さらに2016年からは海外にも37店舗を展開している。お店は、三角屋根に木とレンガの外観で、店内に入るとベロア生地のソファが並び、地域の人々がコーヒーや喫茶メニューを楽しみながらくつろぐことができる落ち着いた内装が印象的だが、ビジネスモデルとしては独自のフランチャイズ方式が大きな特徴だ。
一般的なフランチャイズビジネスでは、本部が独立した加盟店にブランド名やサービスの提供方法を使用する権利を与え、その対価としてロイヤリティを徴収する。通常、ロイヤリティは売上と連動することが多いが、コメダ珈琲店では異なる方式を採用している。
その方式とは、ロイヤリティを売上と連動させず、席数に応じた固定金額にすることだ。1席あたり月額1500円で、席数で金額が決まることになる。この方式では、加盟店は売上を上げた分だけ取り分が増える一方で、本部のロイヤリティ収益は増えない。この制度により、加盟店は売上を増やす意欲が上がりやすくなるが、本部はどこで収益を増やすのだろうか?
その答えは、商材の卸売りにある。コメダ珈琲店は、パンやコーヒー、小倉あんなど大半のメニューに使われる食材を自社工場で製造し、これを加盟店に卸売りすることで収入を得ている。加盟店が繁盛すれば、本部側が卸す商品もたくさん売れるわけだ。実際に、この卸売りからの収入が本部の売上の約7割を占めている。
競合であるドトールコーヒーも加盟店に卸売りを行うが、ドトールコーヒーはフランチャイズ加盟店が全店舗のうち約67%であるのに対し、コメダ珈琲店は約95%がフランチャイズ加盟店なのだ。コメダ珈琲店の加盟店に対する卸売りがいかに大きな収入源であるかが伺える。
また、本部側にとって卸売りのメリットは収益面だけではない。自社工場で製造した商材を加盟店に提供することで、商品の品質を一貫して保つことができ、各店舗のおいしさを担保できるのだ。これは、加盟店が独立経営をする分、店舗ごとにメニューの品質がばらつきやすいというフランチャイズビジネスの弱点をカバーしている。
同じ理由で、フランチャイズビジネスではブランドイメージの統一も難しい。しかし、コメダ珈琲店では、加盟店の出店時に、店舗の外観と内装のコンサルティングを行うほか、特徴的なテーブルやソファはリース契約を可能にすることで、コメダならではのあたたかみのあるくつろぎ空間がどの店舗でも再現され、ブランドイメージが守られているのだ。
こうしてコメダ珈琲店は、加盟店の成長意欲と本部の収益増を両立させながら、おいしさとくつろぎのブランドイメージを守り、共に成長するモデルを実現している。このようなビジネスモデルが、コメダ珈琲店が全国に愛される店舗を展開する鍵となっている。