信用を共につくる考え方を、小売と金融の一体化で具現化
「丸井グループ」の原点は、1931年に創業した家具の月賦販売にある。現金を持たない人でも分割払いで生活必需品の購入を可能にし、「収入が少なくても信用があれば暮らしをよくできる」という仕組みを整えた。戦後の混乱期には復興を支える生活インフラとしての役割を果たし、高度経済成長期には若年層や新婚家庭をターゲットにファッションや日用品などを取り揃え、誰もが安心して買い物ができる環境を整えた。こうした創業期からの姿勢は、単なる販売手法を超え、人々と共に信用を育てるという事業の根幹へと発展していったのである。
月賦販売は単なる分割払いではなく、顧客と企業のあいだで信用を築く仕組みだった。商品を購入し、期日どおりに支払うことで顧客は信用され、次の取引へとつながっていく。信用を一方的に与えるのではなく、利用を通じて共に積み上げていく。この考え方は、後のクレジットカード事業に受け継がれ、丸井グループの事業構造を支える礎いしずえとなった。
しかし、バブル崩壊後の1990年代、消費の低迷と共に丸井の業績が悪化する中、「モノを介さずお金を貸すだけ」の消費者金融事業へと傾き、その後2007年以降には経営危機に直面。このときの反省を経て、丸井は金融を単なる「貸付の仕組み」ではなく「顧客との関係を育む仕組み」として再構築する決断を下した。
VISAライセンスを取得し、他店舗でも利用できる汎用カード「エポスカード」を2006年に発行。これにより、丸井のカードは「丸井の中だけで使えるカード」から「世界中どこでも使えるカード」へと進化した。店舗は商品の販売拠点にとどまらず、カード発行や会員サポートを担う顧客接点としての機能を強化。培われた顧客接点を金融のインフラへと拡張したこの転換は、同社の事業構造を根本から変え、小売と金融が往復するハイブリッドな事業モデルの原型がつくられた。
エポスカードは、入会当初は利用限度額を低く設定し、利用と返済の実績に応じて段階的に引き上げる仕組みを採用している。年齢や職業などの固定的な基準ではなく、利用履歴そのものを信用として扱う設計は、創業期の月賦販売の思想を現代的に継承するものである。初めてカードを使う人や、これまで金融にアクセスしづらかった層も含め、誰もが自らの行動を通じて信用を築ける仕組みを整えている点が特徴で、丸井はこの仕組みを通じ、金融を貸し借りの関係ではなく、「共に信用を育てる関係」へと再定義した。
丸井グループが一貫して大切にしてきたのは、顧客と共に信用を積み上げ、その信用を新しい価値へと変えていく姿勢。月賦販売からクレジットカードへ、店舗から信用基盤へ。丸井の歩みは、時代ごとに形を変えながら、信用という見えない価値を社会の中に制度として可視化してきた過程だった。金融と小売の融合を通じ、すべての人が自らの信用を築ける環境を整えてきたことこそが、丸井グループの変わらぬ強みなのである。