成長資金が届きにくい創業期の企業に新しい資金の流れをつくる
日本には約2200兆円もの個人資産が存在するといわれる。しかし、その多くは銀行預金や現金として眠ったままで、成長を志す企業や社会課題の解決を目指す挑戦には十分に循環していない。一方で、創業間もないスタートアップ企業は、事業の成長初期に必要な資金を集めることが非常に難しい。銀行融資は返済実績や担保を求められることが多く、大口投資家からの出資も一定の信頼や実績が前提となる。そのため、将来性のある企業であっても資金調達の第一歩でつまずき、事業化のチャンスを逃してしまう例は少なくない。
この資金の滞りと成長の断絶をつなぐ仕組みとして、イークラウド株式会社は株式投資型クラウドファンディングのプラットフォーム「イークラウド」を運営している。2018年に創業、2020年にサービスを開始して以来、個人が企業に少額から投資可能となり、未来の挑戦を経済的にも社会的にも支援できる新しい資金の流れを広げてきた。
「株式投資型クラウドファンディング」とは、スタートアップ企業が非上場株式を発行し、インターネットを通じて個人投資家から少額の出資を募る仕組みだ。企業は年間1億円未満の範囲で調達可能で、個人投資家は1社あたり年間50万円以下の範囲で投資できる。これにより、投資家は比較的少額で複数の企業に分散投資でき、企業は社会からの共感を得られた場合にのみ資金を獲得できる構造ができる。
案件はすべて、イークラウドによる厳格な審査を通過した企業に限られる。専門家が事業内容や経営体制、将来性を確認し、複数回の面談や現地訪問を経て判断。募集期間終了時に目標額に達した場合のみ出資が成立する。IPOやM&Aによって株式を売却できれば、投資額の数倍から数百倍におよぶリターンを得られる可能性もある。一方で、目標額に届かなかった場合は不成立となり、出資金は全額返金される。
出資後も企業は活動状況を定期的に開示し、投資家は応援する企業の成長を継続して見守ることが可能。経済的利益だけでなく、社会の変化に参加している実感が得られる点が、多くの利用者に支持される理由だ。
イークラウドは、国内の同種サービス5社の中では後発ながら高い案件成立率を誇る。2023年7月には、多拠点居住サービスを展開するAアドレスDDress(86ページ参照)の案件で9990万円の申込額を達成、国内株式投資型クラウドファンディングの最高額を更新した。こうした成果を支える理念が「持続的三方よし」で、スタートアップ、投資家、イークラウドの三者すべてに中長期的な利益をもたらす関係を目指している。
同社は「挑戦者と応援者をつなぐインフラ」を掲げ、日本に眠る個人資産を社会の新しい挑戦へと循環させる役割を担う。仮にその1%がこの仕組みにまわるだけでも、22兆円の巨大な資金が動き出す。これは、現在の未上場企業向け投資市場の約20倍に相当し、日本の産業と社会に大きな循環をもたらす可能性を秘めている。イークラウドは、すべての人が理想の未来を描き、挑戦できる社会の実現を目指している。