使われないギフトカードの残高を市場に再流通させ、消費者の機会損失を防ぐ
米国では、誕生日や記念日などお祝いでギフトカードを贈る習慣が一般的であり、その市場規模は年間2,000億ドル以上だと言われている。カードを受け取った人は、好きなタイミングでそのカードのブランドの商品を買えるため、贈る側にも受け取る側にも利便性が高い。一方で、贈られたまま使われないカードも多く、未使用残高は「ブレイケージ」と呼ばれてブランド側の利益となる一方、消費者には機会損失となる。
こうした背景のもとで登場したのが、Raiseというギフトカード売買のマーケットプレイスである。Raiseでは、未使用または残高のあるギフトカードを持つ個人が出品し、それを購入したい他のユーザーが購入するという個人間取引ができるのが特徴だ。出品者はカードのブランド名やシリアル番号、残高、販売価格を入力して販売を開始し、購入者は気になるカードを選んで決済を行う。Raiseはこの決済を仲介し、取引が成立した場合に売上から15%の手数料を引いた金額を出品者に送金する仕組みである。
なお、Raiseは1,200以上のブランドを取り扱っており、ギフトカードを発行する企業とも提携して新品カードの在庫も仕入れている。また、購入者には最大30%程度のキャッシュバックが付与され、割安価格で購入できることもあって、ユーザー数は600万人を超えている。現在は、米国からカナダやイギリスにも展開しているようだ。
Raiseがこのモデルを成立させることができた背景には、オンライン上の取引を支えるデジタル技術に加え、米国の規制環境と文化的土壌がある。日本で同様のサービスを行おうとすれば、古物営業法や資金決済法などに基づくさまざまな規制があるが、米国では日本ほど規制が厳しくない。また、社会的にも、使わないものを誰かに売って現金化することの合理性が受け入れられ、心理的な抵抗が少ない。こうした環境が、中古カードの取引を自然なものとして受け入れやすくしている。
一方で、ギフトカードの個人間売買は不正やトラブルのリスクを伴う。Raiseは安全性を高めるために、複数の対策を講じている。たとえば、購入者が受け取ったカードの残高が不足していたり無効だった場合には、Raiseが90日間の返金対応を行っている。また、出品者に対してはアカウント登録時の本人確認や出品するカードの購入証明などによる審査を行い、プラットフォーム全体の信頼性維持に努めている。
Raiseは、ギフトカードの流通をより効率的で柔軟なものにすることを目的にサービスを拡大してきた。競合も存在する中で、取扱ブランドの多さなどを武器に、一定のシェアと知名度を維持している。ギフトカードの不正利用や詐欺のリスクを完全に防ぐことは難しいようだが、使われないまま眠っているカードの残高を必要な人のところへ届ける仕組みとして、今後も広まっていきそうだ。