映画やファンとのコラボレーションで多様な商品を展開
LEGOは、デンマークで1932年に大工をしていたオーレ・キアク氏によって創業された玩具メーカーである。当初は木製玩具を手がけていたが、戦後間もない1958年に現在のレゴブロックの原型となる結合構造を持ったプラスチック製のブロックを開発したことから始まった。今日ではそのレゴブロックが世界130以上の国と地域で販売され、2024年には743億デンマーククローネ(約1.6兆円)の売上高を記録している。
現在のLEGOの主力事業は、いわずと知れた「レゴブロック」の製造販売である。レゴブロックは、さまざまなサイズと形状のパーツを組み合わせることで、乗り物や建物、キャラクターなどあらゆるものを作れる創造的な玩具だ。子どもはもちろん、大人向けの精密なシリーズや、教育機関向けのSTEAM教材なども展開しており、対象年齢は3歳から90歳以上と非常に幅広い。誰もが自由に“自分だけの世界”を組み立てられるという点が、レゴブロックの最大の魅力である。
こうした事業を支える上で、LEGOは多くの知的財産を保有している。たとえば、ブロック同士を確実に結合させるための基本原理は1958年に特許を取得している(ただし、こちらの特許は現在は失効し、他社メーカーもブロック玩具をつくるようになっている)。今ではロゴやミニフィグ(レゴブロックの人形)のデザイン、独自のパーツ形状などが世界各国で商標・意匠権として登録されている。また、組み立て説明書や映像作品に関しては著作権が適用されており、知財によって「LEGOらしさ」が守られていると言える。これにより模倣品や類似品との差別化が図られ、LEGOといえばプラスチック製のブロックが連想されるほど、ブランドとして確立されてきた。
さらに注目すべきは、LEGOが多彩な商品バリエーションを展開している点である。オリジナルテーマである「LEGO City」や「LEGO Technic」のほかに、映画やアニメなどとのコラボレーションによる商品も数多く展開されてきた。代表的なものに「LEGO Star Wars」や「LEGO Harry Potter」などがあり、いずれも世界中で高い人気を誇っている。こうしたコラボ商品を実現するには、ライセンス契約によってキャラクターの使用権を取得する必要があり、LEGOはライセンス料を支払いつつも、その分の販売機会とブランド価値を得ている。この仕組みは、LEGOが自社ブランドの世界に外部の人気キャラクター等を取り込み、より多様な世界観を提供できるようにするためのビジネス上の仕組みとなっている。
また、LEGOの特徴的な取り組みのひとつに、ファンと共創するための「LEGO Ideas」というプラットフォームがある。これは、一般ユーザーが自らの作品を投稿し、一定数の支持を得ると、実際に商品化の検討対象となる仕組みだ。採用された提案者にはロイヤリティ(売上の1%)が支払われ、名前が製品に掲載される。このように、ファンがただの購入者にとどまらず、製品開発のパートナーとなる仕組みを取り入れることで、ユーザーの声を聞いたり、LEGOブランドへの愛着をより深めてもらう土台が築かれている。
また、近年は教育や福祉の分野でもLEGOの価値が見直されている。LEGO財団(LEGO Foundation)を通じて、世界中の子どもたちに「遊びを通じた学び」の機会を提供し、難民支援や災害地域への教材提供など、社会貢献活動も積極的に行っている。単なる玩具メーカーとしてだけでなく、創造力を育む社会的存在としての位置づけも強まってきている。
このようにLEGOのビジネスモデルは、ブロックというシンプルな商品を中心にしながらも、知財・ブランド・ファンコミュニティ・外部とのライセンス連携など多様な資産が有機的に結びついて成立している。創業当初から変わらぬ「遊びの中に学びと創造を」という哲学を軸にしつつ、時代やニーズに合わせて絶えず進化してきたLEGOの姿は、今後も多くの人に新しい発想と楽しさを届けてくれそうだ。