「魚屋」のイメージを変えるカフェのような店舗
僕が初めて「サカナバッカ」の店舗を見たとき、一般的な鮮魚店のイメージとはだいぶ違っていて驚いた。店名にサカナ(魚)という文字が入っていなかったら、おしゃれなカフェか何かだと勘違いしていたかもしれない。
2015年にグッドデザイン賞を受賞するほど店舗のデザインにこだわっているのは、主な顧客層が30代の女性客だということも関係している。
商品にも力が入っており、スーパーにあまり並ばないような種類の鮮魚も取り揃えている。このことは、消費者が鮮魚に興味を持つきっかけとなっている。
農林水産省が2016年に発表した数字によれば、日本の漁業者は年々減っていて、10年前と比べると24.7%も少なくなっているという。そんな中、サカナバッカでは、産地(漁港)から直接魚を仕入れるシステムを導入している。
通常、卸を通すと売れる魚が取り扱われやすくなるので、どうしても少品種になる。しかし、産地から直接仕入れることで、多品種の魚を取り揃えることができる。また、マイナーな魚種を加工して流通させることで商品価値を生み、市場の活性化も狙っている。
自社開発した仕入れのシステムは「魚ポチ」と呼び、他の飲食店も使えるようにしたのも市場活性化策の一環。現在では1500種以上の水産品を累計1万以上の登録店舗に卸している(2018年7月現在)。BtoCのサカナバッカとBtoBの魚ポチは、それぞれが水産業の構造的な課題を解決するための重要な役割を担っている。