ユーグレナを使ったクッキーでバングラデシュの栄養不足を解決
日本語でミドリムシと呼ばれる「微細藻類ユーグレナ」はワカメや昆布と同じ藻の仲間だ。このユーグレナは、動物と植物の両方の性質を持ち、光合成によって成長する。食品だけでなく、バイオ燃料や飼料、肥料、バイオマスプラスチックと、多岐にわたって活躍できる存在として注目されている。
この微細藻類ユーグレナ等を活用して事業を展開しているのが、2015年に設立した株式会社ユーグレナだ。同社は、誰も成し遂げられないと言われていたユーグレナの大量培養に成功。食品や化粧品の販売、バイオ燃料の開発・製造など、多角的な事業を行っている。ユーグレナには、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、不飽和脂肪酸など、実に59種類もの栄養素が含まれている。成人の必須アミノ酸すべてがバランスよく含まれており、人間が生きていくために必要な栄養素の多くを備えている。そんなユーグレナを活用して開発された商品のひとつが「ユーグレナクッキー」だ。
栄養素の高いクッキーとして販売されているが、このクッキーに関して注目すべき点は他にもある。同社は会社の売上の一部を使って、「ユーグレナGENKIプログラム」を始動させ、現地NGO等と協力し、バングラデシュの子どもたちにこの栄養豊富なクッキーを届けている。1食分のユーグレナクッキーは6枚。この1食で、バングラデシュの子どもたちに特に不足している栄養素1日分を提供できるという。これまでの配布数は累計1,700万食を突破している。(2023年11月末現在)ユーグレナクッキーの配布に加えて、定期的な健康診断を行いながらバングラデシュの子どもたちの栄養改善を目指して活動を続けている。
元々、ユーグレナ社の創業のきっかけは社長の出雲が学生時代に訪れたバングラデシュで、必要な栄養素が足りず栄養失調となっている子どもたちを目の当たりにしたことだった。プログラムのHPによると、バングラデシュでは、5歳以下の子どもの半分が貧血状態にあり、また5歳以下の子どもの36%、約550万人が発育不全状態の状態だという。その後、豊富な栄養素をバランスよく持つ微細藻類ユーグレナと出会い、「人と地球を健康にする」という経営理念のもと創業した。同社は現在、ユーグレナの研究開発を軸に、ヘルスケアやバイオ燃料など様々な事業を展開しているが、事業が多角化していきながらも、創業のきっかけとなったバングラデシュの子どもたちのための支援を継続して行っている。ユーグレナの研究開発という強みを持ち、サステナビリティに関する取り組みを多角的に進めている同社がどのように社会に価値を提供しているかには注目だ。