途上国と先進国の課題を同時に解決する
世界では約7億人が栄養不良や飢餓に苦しんでいる一方、約25億人が過体重や肥満に悩んでいる。2007年に設立されたNPO法人TABLE FOR TWO Internationalが始めた「TABLE FOR TWO(以下、TFT)」は、このような食の不均衡から生じる問題に対して、開発途上国と先進国の両側からアプローチし、飢餓と肥満の両方を解消するためにさまざまなプログラムを展開している。
代表的な取り組みの1つが、企業や大学などにある食堂との提携である。通常のメニューよりカロリーと栄養バランスに配慮したヘルシーメニューを食堂で提供し、食事代に寄付金20円をプラスして料金設定をする。この20円は、開発途上国の1食分に相当し、現地の学校給食に使われる。食べすぎの人が減らした分のカロリーを不足している人に届けることで、食料分配のアンバランスを同時に解消することに貢献している。
実際にTFTプログラムを導入している企業や大学には、トヨタ自動車、パナソニック、三井物産、東京大学、早稲田大学などがある。これらの団体では、食堂の運営を委託している企業と連携し、その運営企業の管理栄養士などがTFTのガイドラインを参考にメニューを開発している。各企業で開発されるTFTのための特別メニューは、おいしく低カロリーになるようにそれぞれ様々な工夫がされている。特にユニークなアイディアは、各団体のメニューや取り組みを評価するTABLE FOR TWOアワードで表彰される。
また、食堂でのプログラム以外にも、TFTは多様な寄付プログラムを展開している。例えば、自動販売機で寄付付きのドリンクを販売する「CUP FOR TWO」や、企業が自社商品に寄付付きの商品やサービスを販売するプログラムがある。また、「おにぎりアクション」といって、SNSでおにぎりの写真が投稿された数に応じて協賛企業が寄付する仕組みのイベント型のプログラムもある。
こうした多様な寄付プログラムに参加している団体は約700団体にのぼる。この参加団体の多さが寄付金の多さにつながり、TFTは2023年には2億円以上の寄付を集めた。2007年の設立から現在までの累計支援給食数は1億食を超えている。
TFTが支援する地域は、ウガンダ共和国、エチオピア連邦民主共和国、ケニア共和国、タンザニア連合共和国、ルワンダ共和国、フィリピン共和国の6ヶ国だ。各支援先では、現地の自治体やNPO法人、学校などのパートナー組織がTFTからの寄付金で給食を提供している。学校で温かい給食が食べられるようになった支援先の子どもたちは、栄養状態が改善された。それだけでなく、給食が学校へ通うきっかけとなり、教育への参加率や成績の向上にもつながっている。
多くの人が社会のために何かしら貢献をしたいと考えるものの、募金だけでは実感が湧きにくかったり、そのための時間を確保することが難しかったりする。しかし、TFTの仕組みは、日常生活の中で、ほんの少しのお金と行動で1食分を届けることができ、貢献する側にとっても喜びとなる。このように、寄付する側とされる側の両方に喜びをもたらすことが、多くの人の協力につながったと思われる事例である。