ライブストリーミングを起点に、独自の収益システムを構築
ANYCOLORは、日本最大規模のVTuberプロダクションとして、VTuberグループである「にじさんじ」プロジェクトを中心に事業を展開している。にじさんじでは、所属しているVTuberのことを、「バーチャルライバー」「ライバー」と呼んでおり、150人を超えるVTuber/ライバーが、YouTube等の動画配信プラットフォームで多様なコンテンツを提供し、ファンとのコミュニケーションを図っている。2022年6月8日にグロース市場へ上場し、翌年にはプライム市場へ市場区分変更をし、初の「VTuber銘柄」としても話題になった。
ANYCOLORの収益構造は、ライブストリーミング、コマース、イベント、プロモーションの4つの柱から成り立っている。これらの柱は、独立しているのではなく、相互に補完し合いながら循環的に機能している。ライブストリーミングを起点にファンコミュニティを拡大し、次にコマースやイベントを通じてファンとの関わりを深め、企業プロモーションを通じてブランド認知度を向上させる。その結果、さらにライブストリーミングが強化されるという独自のエコシステムを築いている。
ライブストリーミングでは、メンバーシップが主要な収益源となっている。視聴者が月額料金を支払い、特別なコンテンツを受け取れるこの仕組みは、にじさんじの安定した収益の基盤となっている。さらに、広告収益や投げ銭が加わり、より多面的な収益モデルが形成されている。
コマースは、ANYCOLORの最大の収益源だ。コマースでは、グッズとデジタルグッズに分かれ、グッズではCDやDVD、フィギュア、アパレルアイテムなどが取り揃えられている。デジタルグッズは、ダウンロード商品で、さまざまな企画やコンセプトに沿ったVTuberたちのボイスを聞くことができる。ライブストリーミングを通じてファンコミュニティが築かれ、その結果さまざまな商品が購入される循環を生み出している。
イベントでは、リアルな会場でのライブを開催することで収益を得る。VTuber単体でのライブイベントの他、多くのVTuberを集めた「にじさんじフェス」なども開催されている。にじさんじフェスは、2022年の幕張メッセで初開催され、総勢100名以上のVTuberが参加した大規模なフェスイベントとなった。またライブを行うことでライブグッズなどが売れるため、他の収益活動にも好影響を与えている。
プロモーション活動では、企業とのコラボレーションを通じて収益が得られる。VTuberは企業の広告塔として、製品やサービスのプロモーションを行い、ブランド認知度を高める役割を果たしている。ライブ配信で築いたファンとのつながりは、企業案件でも効果を発揮し、多くの企業とのタイアップを実現している。このように、プロモーション活動はVTuberの影響力を最大限に活用した重要な収益源となっている。
このように、ライブストリーミング、グッズ販売、イベント、プロモーションが相互に作用し、循環することでANYCOLORの収益モデルは持続的に成長している。
また、ANYCOLORは、VTuberの定期的な輩出にも力を入れている。年平均10〜15%程度の新規デビューを目指し、「バーチャルタレントアカデミー」を通じて次世代のVTuberを育成している。オーディションでは約1万人の応募者の中から数人が選ばれ、半年から1年半の育成期間を経てデビューする。VTuberの定期的な輩出に力を入れているため、幅広いVTuberに収益が分散していることも特徴的だ。トップ層のみに頼らない安定した収益を実現しているため、収益リスクを分散させることができ、持続可能なビジネスモデルを構築している。
ANYCOLORは、今後もVTuberの育成・デビューを継続的に推進し、同時にエコシステムの強化を通じてVTuber1人あたりの収益を拡大することを目指している。特に、ユニットプロデュースの強化は今後の重要な施策の一つである。多様なVTuberが所属するという強みを活かし、既存ユニットの成長と新規ユニットの輩出を加速させ、ファンコミュニティを拡大していく。ユニット活動を通じて、VTuber同士の掛け合いなどから新たなVTuberを知るきっかけをつくり、従来とは異なるファン層の開拓にもつなげていく。