スマホのGPSで登山も安全に楽しめる地図アプリ
「YAMAP(ヤマップ)」とは、電波の届かない山の中でも使える登山地図GPSアプリだ。登山前に地図をスマホにダウンロードしておくことで、電波の届かない山の中でも自分の位置を確認できる。
登山は老若男女問わず人気が高いアウトドア・アクティビティだが、登山者の増加に伴い、遭難事故も年々増えている。その主な原因は、「自分の現在地がわからなくなってしまうこと」にある。山中では電波が届かないため、一般の地図アプリを使うことができないからだ。
これまでも山中で現在地を知るための機器はあったが、高価で操作が難しかった。登山を楽しむ層が広がる中で、登山を始めたばかりの人にとっては、そうした機器を使いこなして登山をすることは困難だった。
そこで、株式会社ヤマップはスマホのGPS機能とオフラインで表示できる登山地図を組み合わせ、山上などの圏外でも自分の現在地を把握できるスマホアプリを開発した。つまり、多くの人が持っているスマホを「命を守る道具」に変えたのだ。
YAMAPには、「活動日記」という掲示板があり、ユーザー同士で登山中の写真や感想を共有できる。これにより、ユーザー同士で山の現地情報やおすすめの登山アイテムなどの情報を共有することができたり、新たなコミュニティ形成の場にもなっている。
また、YAMAPには「活動日記」のほかに、ユーザーの登山ルートやタイムが記録される機能があり、これらのデータが2013年のサービス開始以来、膨大に蓄積されてビッグデータとなり、多方面で活用されている。
例えば、2017年に株式会社ヤマップと国土地理委員が結んだ協定がその一例だ。株式会社ヤマップはこのビッグデータを地理院に無償で提供し、地形図の登山道の修正に活用されている。これにより、地形図がより正確になり、登山者にとってより安全で便利になった。
また近年、株式会社ヤマップではパーパスを「人と山をつなぐ、山の遊びを未来につなぐ」から「地球とつながるよろこび。」に変え、山に限らず地球と人をテクノロジーでつなげる取り組みを進めている。
その一環として、2024年にはYAMAPに流域地図が追加され、今いる場所の山・川・街・海とのつながりがわかるようになった。
さらに、YAMAPは登山保険を扱っており、今後、補償対象となる活動や携行品を広げた商品としてリニューアル予定だ。これにより、登山中に限らず、山や海、川などのアウトドア活動中のケガや遭難時の捜索・救助費用も補償し、より安全で安心な野外活動をサポートしている。
株式会社ヤマップの、人と地球をつなげる取り組みは多くの人に支持され、アプリのダウンロード数は、2023年で約400万を突破。日本生産本部の「レジャー白書2023」によると、2022年の日本の登山人口は約500万人であり、理論上では登山人口の半数以上がYAMAPを利用していることになる。
会員には無料会員と月額780円のプレミアム会員がある。プレミアム会員になると登山地図が使い放題になり、登山記録を3D動画で再現できるなどの豊富な機能が追加される。会員のうち5人に1人がプレミアム会員とのことで、これが近年のYAMAPの売上高向上に大きく貢献している。
YAMAPは2014年のグッドデザイン賞受賞・ベスト100獲得を皮切りに、経済産業省の「新事業創出のための目利き・支援人材育成等事業」認定され、雑誌『AERA』の「日本を動かすベンチャー100」選出など数多くの受賞を果たして注目された。 さらに、2018年には合計14社から総額12億円の資金調達を行い、さらなる業界内外との連携拡大や基盤構築を進めている。