生産者のマーケティングや商品化もサポート
本来、有機野菜は実物が見えず足も早いことから宅配での販売は不向きとされていた。そんななか、日本で初めて有機農産物の宅配を開始したのが「オイシックス(Oisix)」を展開するオイシックス・ラ・大地株式会社。ここ数年、競合であった「大地を守る会」「らでぃっしゅぼーや」を買収して成長を加速させている。企業のフィロソフィーとして、「消費者と生産者をつなぐこと」「生産者が報われ誇りの持てる仕組みを構築すること」などを掲げており、消費者、生産者それぞれから高い評価を得ている。
オイシックスのサイトで特徴的なのは、生産者が栽培した商品に対する説明や生産者のプロフィールが一目で確認できるようになっている点。これにより実物が見えなくても安心して商品を選んで購入することができる。
もともとメインターゲットを小さな子どものいる30代女性としていたこともあり、有機野菜だけでなく、時短で料理を楽しめるミールキット「Kit Oisix」なども提供している。「Kit Oisix」は種類も豊富で、何より簡単につくれておいしいと評判がよい。宅配も業務委託することで消費者の細かなニーズに対応できるようになっている。
同社のサービスは消費者だけでなく生産者にとっても利用のメリットが大きい。たとえば、注文された商品に対して消費者が評価できるようになっているため、小売店販売では聞こえてこない購入者の声を直接聞くことができるようになっている。
また、必要に応じて、生産者が栽培した野菜や果物について、マーケティングや商品化をサポートしている。たとえば、生でも甘くておいしく食べられるかぶを「ピーチかぶ」と名付けて売上を拡大させたり、農薬使用が制限されていて形の不揃いなものもミールキットとして販売することでフードロスを削減している。生産者としてもオイシックスを通じて商品を売ることでより多くのメリットを享受できる。