ポイントの代わりに株がもらえる日本初のサービス
カブアンドは、電気やガス、モバイル通信、光回線、ウォーターサーバー、ふるさと納税などの日常生活に欠かせないサービスを利用することで、利用額に応じてポイントがもらえるのではなく、未公開株を獲得できるサービスである。株式を利用者に配布することで、単なる顧客ではなく「お客兼株主」としてカブアンドのサービスの経済圏に参加させる仕組みを構築している。株式会社カブ&ピースが運営し、ファッション通販サイト「ZOZO TOWN」の創業者として知られる、前澤友作氏が会社を立ち上げた。
カブアンドでは、サービスの利用額に応じて、1枚あたり1円の価値を持った株引換券が付与される。その株引換券をもとに、株式への交換申請を行う。その時の株価に基づき、入手できる株数が通知され、株引換券は前払式支払手段に変換される。前払式支払手段とは、「クオカード」や「プリペイドカード」のような仕組みで、事前にチャージされた金額分を特定の用途に使用できるものを意味する。最終的に、前払式支払手段を株式会社カブ&ピースに支払うことで、規約に基づいて計算された株式が取得できる。
また、カブアンドで受け取れる株は、一般的な「普通株式」ではなく「種類株式」である。普通株式とは、企業が発行する最も基本的な株式で、株主総会での議決権を持ち、会社が解散したときに財産を分けてもらえる権利(残余財産の分配)がある。それに対し、カブアンドの種類株式には配当金を受け取る権利はあるが、議決権を持ち会社の意思決定に参加したり、残余財産の分配の権利はない。このため、会社の経営に直接関与することはできない点が大きな違いである。
カブアンドは通常会員とKABU&プラス会員があり、月500円の会費を払うことでKABU&プラス会員になることができる。KABU&プラス会員は通常会員よりも株引換券の付与率が2倍となるため、より多くの株引換券をもらうことができる。
カブアンドのメリットとして、上場が実現し、企業の成長が続けば、取得した株式の価値が上昇する可能性がある。また、証券口座を開設せずに申し込める手軽さも、投資経験がない人々にとって大きな魅力である。さらに、株引換券を1枚1円として、サービスの割引券に交換することも可能となっている。
一方、カブアンドの仕組みには、いくつかのリスクやデメリットが存在する。まず、未公開株の特性として、上場が実現しない場合には株を市場で換金することができず、価値を実際に享受することが難しくなる可能性がある。また、受け取れる株数には上限が設定されているため、大きな資産形成を短期的に期待することは難しい。さらに、現在の評価額は仮のものであり、2025年4月25日に正式な評価額が決定される予定だが、市場環境や事業進捗によっては、当初の想定よりも低い評価額になる可能性もある。このため、株の価値が期待通りに上昇しないリスクが伴う。
もし上場ができた後には、もちろん株式の価値が市場の需要と供給に左右されるリスクがある。買い手が少なく売却希望者が多い場合、株価が下がる可能性があるほか、新たに株式が追加発行されると1株あたりの価値が希薄化し、既存株主の利益が薄まるリスクも考えられる。
また、サービスの対象エリアに制限があり電気やガスの提供が一部地域では利用できないことと、一般の方向けのサービスのため法人向けサービスが提供されていないことなども注意点である。このような要素により、利用者がサービスを十分に活用できない場合があることにも注意が必要である。最後に、株式を受け取る仕組み自体が新しい試みであるため、法規制や市場環境の変化による影響を受ける可能性も考えられる。これらのリスクを十分に理解した上で、カブアンドのサービスを利用することが重要だ。
カブ&ピースは、多くの一般の方に未公開株を配布する仕組みを実現するため、財務局に有価証券届出書を提出した。有価証券届出書とは、企業が新たに有価証券を発行する際に、その内容やリスク情報を開示するために提出が義務付けられている書類である。同社は、この手続きを通じて法令を遵守し、透明性を確保した形で未公開株を一般の方に配布する仕組みを構築した。
さらに、有価証券届出書をもとに作成される「目論見書」は、投資家向けに事業計画や財務状況、リスク要因などをまとめた資料である。カブ&ピースは、この目論見書を活用し、利用者が同社の成長可能性や未公開株に伴うリスクを十分に理解できるよう配慮している。
カブアンドのビジネスモデルは、生活インフラサービスの利用に応じて株を受け取れる仕組みを提供し、新しい形で資本参加の機会を広げている。「国民総株主」を目指す同社のミッションは、資本をより多くの人に分散させることで、経済格差の是正に貢献する可能性を秘めている。一方で、未公開株に伴うリスクやサービスエリアの制限などの課題も存在する。これらの課題を克服しながら、利用者が共に成長する持続可能な経済モデルとしての発展が期待されている。