「困り事」を持つ視覚障害者とボランティアをつなぐプラットフォーム
世界では、視力に何らかの制約を抱える人が約22億人いるとされ、日常生活や情報取得に困難を抱える人は決して少なくない。社会の制度や昨今のIT機器の機能・アプリなどによる支援はあるものの、情報は断片的で即時性や柔軟性に欠け、どうしても「人との対話」に頼らざるを得ない現状がある。しかし、その人的サポートは常に十分ではなく、必要なときに必要な支援が届かないという限界が存在している。
「Be My Eyes」は、視覚に障害のある人と、世界中の目が見えるボランティアをつなぐスマートフォンアプリとして2015年に登場した。アプリを通じて、視覚障害者がスマホのビデオ通話を使いながら「いま目の前で起きていること」をボランティアに伝え、その場で支援を受けられるという仕組みだ。
たとえば、郵便物の差出人や中身の確認、服の色合わせ、期限切れの食品チェックなど、日常生活のちょっとした「困り事」を助けてもらうことができる。特徴的なのは、これが世界中どこでも無料で使えるという点で、アプリを開いて「助けてほしい」とボタンを押すだけで、すぐにどこかのボランティアが応答してくれるという、非常にシンプルかつ温かみのあるサービスになっている。
サービスの中核は、視覚障害者が「見たいこと」をスマホのカメラで映し、その映像をもとに、ボランティアが状況を音声で説明するというライブ通話機能にある。ボランティアはあらかじめ登録しておき、誰かからのサポート依頼が届くとアプリを通じて呼び出される。そして、それに応答すればビデオ通話がはじまり、あとは映像を見ながら必要な情報を伝えるだけとなり、手軽に誰かの役に立てる仕組みとしても注目されている。支援は無償だが、双方の満足度が高く、テクノロジーを介したマイクロボランティアの成功例としても知られている。
興味深いのは、このサービスが、視覚障害者からはお金を取らずにビジネスとして成立しているという点だ。Be My Eyesは、企業向けの有償サービスを展開しており、MicrosoftやGoogleを含む企業との提携を通じて事業を成立させている。その提携によって、企業側はBe My Eyesのアプリ内にカスタマーサポート窓口を設け、視覚に障害のある顧客からのサービスに関する問い合わせにビデオ通話で対応することができる。また、視覚に障害のある従業員向けのサポートとして、Be My Eyesのソフトウェアを利用することも可能。そして、これらのサービスを利用することで、企業側は視覚障害に対するアクセシビリティ対応の質を高めることができるとして、より一層注目されている。