アナログな人事労務手続きの書類作成をWeb上で完結
従業員の入退社手続きや年末調整、扶養者の変更など人事労務の仕事をオンラインで手続きできるサービス「SmartHR(スマートエイチアール)」。2013年1月に創業され、2015年11月にサービスをリリース。現在では約6万社が導入しており、その企業規模は中小から大企業までと幅広い。またサービスの継続利用率は99%超を誇り、コロナ禍を経て近年めざましい成長を遂げている。
このサービスが最初に広まった背景として、日本は社会保険・労働保険分野の各種手続きでオンライン利用率が低かったことが挙げられる。他の手続きと比較しても登記68.4%、国税60.1%だが、この分野はわずか11.8%の利用率であった。
そのため、企業内での社会保険・労働保険の各種手続きは手書きで行われているので、人事労務担当者や従業員にとっては面倒な作業になっている。従業員1人分の入社書類を手書きで書いた場合にかかる時間は約1時間。その書類を提出しに役所へ行く場合は、さらに4時間ほどかかる。
一方、SmartHRを利用すると、従業員が自分の情報を入力するだけで各種書類が自動作成され、人事労務担当者はオンラインでその内容を確認し、承認すれば完了する。今まで社会保険や労働保険にかかっていた作業時間が大幅に削減される。
また、デジタル庁が提供している電子申請の外部APIを利用することで一部の書類はオンラインで手続きを完了することもできる。導入企業の人事や経理の担当者がわざわざ年金機構やハローワークなどの役所に行く必要はなく、手続きが完了するまでの待ち時間がなくなるところがすごい。
通常オンライン手続きをするためには認証局が発行する「電子証明書」が必要。そこでSmartHRは導入企業、もしくは顧問社会保険労務士が代理で発行することでオンライン手続きを実現している。このようなオンラインサービスは、コロナ禍で出社や役所への訪問がしづらくなったことで急速に需要が高まり、SmartHRは急成長を遂げた。年間経常収益(ARR)は年々増加し、2024年2月には前年同時期の150%増となる150.4億円を達成。
また、2021年までで累計約238億円の資金調達に成功し、人事労務で得られる従業員データベースを活用した機能拡充を進めている。その例として、従業員のスキル管理、人事評価、キャリア台帳などのデータ活用による人事配置や人事施策立案などが可能なタレントマネジメント機能が追加された。単に手続きを効率化するサービスではなく、働く人と組織のパフォーマンスを高めるサービスへと変身するSmartHRのさらなる展開に注目したい。