送金の中継ぎをする銀行を介さず、余計な手数料と時間を節約
「Wise(ワイズ)」(旧:TransferWise)は、海外送金時に間に入る業者を限りなく減らして、見えない手数料をなくし、より速く、透明性を高くしたオンライン送金サービス。運営会社のWise Payments Limitedは、同サービスによって2021年には時価総額110億ドルに達し、ロンドン証券取引所に上場するテクノロジー企業の中でも過去最大の時価総額を記録した。
海外送金は、一般の銀行などでは「手数料無料!」などと宣伝しているところも多いけれど、実は送金する際に複数の中継ぎをする銀行に支払われる手数料が見えないところで取られている。通貨を外貨に換えるときの為替レートに上乗せさせられてしまうのだ。たとえば、今1ドル100円だとしても実際の両替レートは1ドル100円50銭だったりする。その50銭は業者の手数料となる(海外旅行に行く人はよくわかるかもしれない)。
このような問題を、同社は送金元と受取元の銀行の間に他の銀行を中継させず、自社が世界中に保有する口座から入出金することによって解決した。つまり、1回の海外送金を2回の国内送金に置き換えたのだ。たとえば日本から米国に送金する場合、まず送金したい人は日本のWise口座に日本円で入金する。入金はミッドマーケットレート(中継ぎの銀行の手数料などが乗っていないレート)で換算される。そして、その情報は米国のWiseに連携され、受け取る人の口座に米国のWiseの口座から米ドルが支払われる。
一見手間が増えるだけのように思えるけれど、公式サイトによると最大で手数料が7倍も安くなるらしい。しかも、送金の90%が24時間以内に終了するというスピード感があるのに加えて、日本では関東財務局に資金移動業者として免許登録しているなど信頼性が高いところも利用者としては魅力的。
なお、Wiseの競合には、世界中で使えるキャッシュレス決済サービスをメインとしたRevolut(レボリュート)がある。こちらも、Wiseのように格安の手数料で海外送金ができる。しかし、Revolutは送金時に中継ぎの銀行を経由するため、最終的にいくつの銀行を経由し、いくらの手数料が上乗せされるかが、送金完了までわからない。
その点、Wiseはこれまでに述べたとおり、自社が世界中に保有する口座の入出金のみの処理で送金が成立するため、手数料を含めた支払総額が事前にわかるのだ。これは、他の同業者にはない、Wiseの仕組みだからこそ生み出せたメリットだ。
Wiseは、2011年にエストニア出身の2人の男性によって創業された小さなスタートアップ企業だったが、2023年度の売上純利益は約11億ポンド(約20兆円)で、今や世界で最も成功したフィンテック企業と言われるまでになった。海外送金を主軸に成長し、現在は法人向けアカウントやデビットカードなどのサービスを展開し、成長を続けている。
海外から母国への仕送りをこのサービスを通じて行う人もいるようで、1000万人以上によって送金が行われている。このサービスのすごいところは、あえて手間をかけることで手数料を安くするという発想力と、そのアイデアを実行するために世界中の銀行に口座を開いてしまった実行力。創業者の1人がイギリスでポンドで給料をもらっていた頃、エストニアの住宅ローンを返済するために送金していたことから、このサービスを考えついたという経緯もとても面白い。