玄関に吊るすだけで、再配達のストレスなくスムーズな受け取りを実現
OKIPPAは、玄関のドアノブに取り付けるだけで使える吊り下げ式の簡易宅配ボックスで、工事不要で簡単に設置できる。荷物が届いたら宅配業者がバッグに入れ、鍵をかけることで、在宅・不在に関係なく荷物を受け取ることができる。使わないときは手のひらサイズに折りたためるため、玄関前に置いていても邪魔にならない。宅配ボックスを設置できない家庭でも導入しやすく、2018年の発売以来、全国で22万個以上が販売されている。(2024年3月時点)
OKIPPAが注目される背景には、インターネット通販の拡大と、共働きや単身世帯の増加などに伴う再配達の増加がある。せっかく注文した商品が届いたのに不在で受け取れず、配送業者に再配達を依頼するのは手間がかかる。配送する側にとっても、同じ荷物を何度も運ばなければならず、業務の負担が増える。再配達の削減は、利用者にとっては荷物を受け取れないストレスを解消できるだけでなく、配送員の負担や環境負荷の軽減にもつながるため、解決が急がれる社会課題の一つとされている。
OKIPPAは、この置き配バックの仕組みが、再配達削減に対して実際にどれほどの効果があるのかを検証するため、日本郵便と共同で実証実験を行っている。2018年12月に東京都杉並区の1000世帯にOKIPPAを配布し、再配達率の変化を調べたところ、再配達が61%も削減された。期間中の盗難被害もゼロだったことから、安全面の問題もクリアしているといえる。この実験結果を受け、日本郵便はOKIPPAの活用をさらに広げるために、全国10万世帯を対象にOKIPPAの無料配布を実施。さらに、これまで荷物を受け取る人は置き配を利用する際に、申請書の提出も必要だったが、それを不要にするなど、導入のハードルを下げる取り組みも進めた。こうした動きもあり、OKIPPAは徐々に普及している。
さらに、長崎県佐世保市では、温室効果ガスの排出削減を目指す「ゼロカーボンシティ」の取り組みの一環として、市内の再配達を減らすためにOKIPPAを1,500世帯に無料配布する事業を開始した。このプロジェクトでは、再配達を減らすことで、配送トラックの走行距離を短縮し、CO2排出量の削減につなげることを狙いとしている。このプロジェクトで配布されたOKIPPAは、佐世保の海をイメージしたターコイズブルーの佐世保市限定デザインで、市民の利用を促進した。
OKIPPAを普及する上で重要視されたのが、安全性の確保だ。荷物を外に置く以上、盗難のリスクは完全にはなくならない。しかし、OKIPPAはこのリスクを最小限に抑えるために、ドアノブ専用のワイヤーロックとシリンダー式の南京錠の2種類の鍵を採用し、簡単には開けられない構造になっている。
さらに、OKIPPAには無料と有料の2種類の補償サービスがあり、無料の補償では、OKIPPA内に配送された荷物が盗まれた場合に最大5000円のお見舞金が支給される。有料の「OKIPPA plus」では、東京海上日動と共同開発した盗難補償「置き配保険」が利用でき、荷物の盗難時には最大3万円まで補償される。こうした補償サービスの充実により、安心して利用できる環境が整えられている。
OKIPPAの普及が進めば、家にいなくても荷物が受け取れるだけでなく、配送業者の再配達にかかる負担が軽減され、CO2排出の削減にもつながる。EC市場の成長に伴い、宅配需要は今後も増え続けると予想される中で、こうした再配達削減の仕組みはますます重要性が増すだろう。OKIPPAは、手軽に宅配の受け取り方法を変え、より快適な物流環境の実現に貢献していくはずだ。