生産者と消費者の直接コミュニケーションがサービスの強み
インターネットの発達によって、中間業者の介在する余地をできるだけ少なくし、提供する側と受け取る側が直接取り引きする場面は増加している。そのような動きは農産物に関しても広がっており、株式会社雨風太陽が運営する、生産者と消費者をつなぐ産直アプリ「ポケットマルシェ」はそのひとつだ。
同社は、2013年に、元岩手県議員の高橋氏が立ち上げたNPO法人東北開墾が前身となっている。東北開墾では、「東北食べる通信」という、食のつくり手を特集した情報誌と、彼らが収穫した食べものがセットで定期的に届く食べもの付き情報誌を提供していた。その後、2015年に株式会社KAKAXIを設立し、2016年には商号を株式会社ポケットマルシェに変更、ポケットマルシェのサービスをリリースした。
ポケットマルシェの特徴は、生産者と消費者がつながり、食材の売買だけでなく、コミュニケーションなども行っている点だ。購入時に必ず生産者とメッセージのやり取りが行われるように設計されており、つながりが生まれることで、広告宣伝費をかけずにリピートするきっかけにもなっている。さらに、「コミュニティ」という機能を使うことで、生産者が日々現場から、生産過程の様子や旬の食べ物、美味しい食べ方などを消費者に発信でき、消費者側も、「こんな風に料理しました」、「ごちそうさま!」と日々の食材の使い方や感謝の気持ちなどを生産者に伝えることができる。また、生産者が消費者からの問い合わせの一次対応を行うこともあり、カスタマーサポートの人員が他の産直サービスと比較して少ないことも特徴だ。2020年には、2019年と比べて売上が23倍増えたのに対し、カスタマーサポート人員は3人の増員にとどまったという。
同社は、2022年に「都市と地方をかきまぜる」をミッションとし、株式会社雨風太陽に商号を変更し、2023年12月18日に東京証券取引所グロース市場に上場。社会課題の解決を目指すスタートアップとして注目されている。また「関係人口」を生み出すことを目指して、様々なふるさと納税や地方留学、電力事業など、様々な事業を展開している。ポケットマルシェにおいて、生産者と消費者のコミュニケーションを生み出すという仕組みも、競争優位につながっているというだけでなく、同社のミッションを具体化したものだと言えそうだ。