駐車場収入とテナント賃料で高い収益性を実現する
都市部の狭小地を活用する手段として、まず思い浮かぶのがコインパーキングである。しかし、人通りの多い立地において、ただ車を停めるだけの空間にしておくのはもったいない。そんな状況に応えるのが、株式会社フィル・カンパニーが展開する「空中店舗フィル・パーク」という仕組みである。
フィル・パークは、既存の平面駐車場の上に低層の建物を建て、下はそのまま駐車場として活かしつつ、上を店舗やオフィスなどのテナント空間にするというユニークな空間ソリューション事業だ。主な顧客は駐車場オーナーや投資家で、オーナーにとっては、駐車場収入とテナント賃料の二重の収益を得られるのが大きな魅力になっている。
この事業は2005年にスタートし、東京・大阪・名古屋のような大都市圏を中心に、すでに200棟以上の実績がある。たとえば表参道や大阪の心斎橋、名古屋の栄など、商業地では飲食店やアパレル、カフェ、美容室などが入居し、街に新たな賑わいをもたらしている。場所によっては、シェアハウスや保育施設といった地域ニーズに合わせた使われるなど、地域ニーズに応じた柔軟な展開も可能である。
提供されているサービスは大きく二つに分かれる。ひとつは、すでに土地や駐車場を保有するオーナーに対して、フィル・カンパニーが上物を企画・設計・建築し、テナント誘致まで担う「受託開発型」。もうひとつは、すでに建物が完成した状態のフィル・パークを土地と一体で販売する「建売型」である。どちらの形でも、企画から完成までをワンストップで提供できることが、フィル・カンパニーの強みである。
建築面では、子会社の株式会社フィル・コンストラクションが設計・施工を担っており、小規模な土地に建てるという制約の中で、工夫が凝らされている。たとえば、エレベーターや広い共用部は設けず、コストを抑えつつ機能的な構造とすることで、オーナーの負担を軽減している。外観はガラス張りでデザイン性が高く、建物内部の明かりが夜の街を照らすような景観づくりにも寄与している。また、内装をテナント側が自由に設計できるスケルトン構造とすることで、入居者の創造性が活きる設計となっている。
建物が完成した後に入居するテナントの誘致に関しても、フィル・カンパニーが独自のネットワークと市場調査を活かして、立地に適した業種やブランドを提案する仕組みが整っている。これにより、オーナーの投資に対する不安が軽減されると同時に、地域にとっても魅力的な店舗が増えることで、まちづくりへの貢献にもつながっている。
フィル・パークの大きな特徴は、駅から遠い場所や狭い土地でも活用しやすく、比較的短期間かつ低リスクで収益化できる点にある。また、テナントが早期に決まるケースが多いため、投資回収の見通しが立てやすいという利点もある。「使い道が思いつかない」と感じていた土地に、新たな価値を吹き込む仕組みとして注目されている。
都市には「場所はあるが使い方に困っている」空間が少なくない。フィル・パークは、そうした場所に新しい意味を与え、駐車場という平面的な使い方に立体的な付加価値を加える手段である。オーナー、テナント、そして地域住民すべてにメリットがあり、単なる土地活用を超えて、まちの風景を変えていく可能性を秘めている。駐車場から始まる“空中の新しい風景”が、今後さらに各地で広がっていくことが期待される。